大企業の現場から始まった「自律的な改善」 〜三菱重工業の内製開発組織がAI駆動開発とデータ可視化で生み出した圧倒的成果〜

「AIツールを導入した。使えてはいるけど、本当に効果が出ているのかは分からない。」生成AI活用が加速する今、多くの開発組織がこの問いに直面しています。 

そんな中、三菱重工業でデジタルプロダクトをアジャイルで内製開発しているシステムインテグレーション部 モダナイズ推進グループ プロダクト開発チーム(東京・田町)は、生成AI(Claude Code)導入前後の3ヶ月でPR作成数を約5割増加させるという圧倒的な成果を出しました。さらに、Findy Team+を活用した開発プロセスの可視化によって、リードタイムの面においても、自分たちのサイクルタイムが世の中の開発チームと比較して上位水準にあることを証明しています。 

一般的に開発スピードが出にくいとされる大手製造業において、いかにしてこれほどスピーディにAI活用による成果を出せたのか。同チームの山田さんと杉原さんに話を聞きました。 

プロフィール

山田 悠太さん
三菱重工業株式会社 デジタルイノベーション本部 システムインテグレーション部 モダナイズ推進グループ プロダクト開発チーム 上席主任 チーム統括
新卒でSIerに入社し、Web系のプロダクト開発を経て、2020年に三菱重工業へ入社。現在はテックリードとして三菱重工の顧客向けカスタマーポータル開発や生成AIを活用したプロダクト開発をリードしている。 

杉原 貴彦さん
三菱重工業株式会社 デジタルイノベーション本部 システムインテグレーション部 モダナイズ推進グループ プロダクト開発チーム 主任
Web系企業を数社経験後、2024年12月に三菱重工業へ入社。現在は部品見積アプリ「HOJYU」の開発・運用をメインに担当している。

自組織から始まった「内製開発」と、生成AI導入への挑戦 

── 本日はよろしくお願いいたします。はじめに、三菱重工業様の中で、内製開発やアジャイル開発はどのように定着してきたのかお伺いできますか。 

山田:私たちの組織はもともと、ごく少人数の「出島組織」としてスタートしました。キャリア採用のメンバーが多く、アジャイル開発の経験者が集まっていたため、自分たちの経験を活かし、理想とする開発プロセスや環境をスピーディに構築し、SoE領域のプロダクト開発をしてきました。

この内製開発のスピード感やプロダクトのもたらす価値が社内でも高く評価され、現在ではこの取組みを他の部署(SoR領域など)にも伝播させていく役割を担うようになりました。 

── その前提の中で、開発にClaude Codeを取り入れられたんですね。AI導入時の課題感があれば教えてください。 

山田:コーディングエージェントの登場で、開発の速度感が根本から変わるという確信はもともとありました。 

しかし、私たちのチームには「事業に意味のあるインパクトを生み出そう(Create visible impact on business)」という組織文化があり、チーム全員が強く意識しています。そのため、「なんとなく速くなった気がする」で終わらせず、効果をしっかりと定量データで証明したいという思いがありました。 

杉原: そうですね。それがこのチームのやり方なので、Claude Codeを導入するとなったときも、最初から「どう測るか」という話が自然と出てきていました。 

チームの中では「速くなっている気がする」という感覚はあっても、いざ説明しようとすると根拠がない。前述の通り、私たちの取組みを他の部署にも広げていくにあたり、効果を数字で説明できることは重要だと考えていたため、感覚だけで終わらせることへの違和感がありました。 

Jiraのストーリーポイントは計画・見積もりベースの指標なので、AI導入による実装面での生産性の変化は測れません。そこを客観的なデータで捉えるために、開発プロセス(PR数やサイクルタイム)の可視化に関心を持ちました。 

ツールを使い倒す現場の力。「4つのBehavior」と自律的な学び 

──生成AIの効果を検証するにあたり、 Findy Team+を導入した決め手は何だったのでしょうか? 

山田:これも組織文化のお話になるのですが、「社外のプロからプロと評されるプロであれ!(Be professional)」という文化もあるんですね。自分たちを社内の基準だけで評価するのではなく、「世の中の物差し」で測りたいという思いが強くありました。 

Findy Team+は、他社と比較できるベンチマーク機能があるので、この文化にまさにフィットしていました。 

杉原:もう一つは営業やカスタマーサクセス(CS)の伴走です。ツールを入れて終わりではなく、使いこなすところまでサポートしてもらえるというのが、導入の決め手になりました。 

他社がどのようにツールを活用しているかという具体的な事例を共有してもらえたことで、自分たちの活用のイメージが大きく広がりました。 

── 導入後、非常に早いスピードで成果を出されていますが、どのようにツールやAIを現場に浸透させたのですか? 

杉原: 特別なことをしたというより、チームが自律的に動いた結果です。まずは生成AIの導入効果測定の土台として、コミットメッセージ等で「Claude Codeを使ったPR だ」と判別できるルールを整備しました。最初は「Claude Codeの利用率」を測り、ツールが現場にどれだけ浸透しているかを確認していましたが、みんなすぐに使いこなせるようになったため、徐々に「PR作成数」や「サイクルタイム」などの生産性指標そのものを追うように移行していきました。 

山田: この圧倒的なスピード感の裏には、私たちの組織に根付いている「4つのBehavior」が大きく関係しています。「学んで行こう」「やってみよう」「引っ張って行こう」「見せて行こう」という行動指針があり、毎週末この4つの観点で自分たちの活動を振り返り、共有し合っています。 

この日々の振り返り文化があったからこそ、Findy Team+の客観的なデータがスムーズに組み込まれ、建設的な議論につながりました。 

── 土台としての文化が大事だったのですね。AIの推進にあたって、チーム内だけではなく、他のチームとの連携もあったとお聞きしました。 

山田:はい。今年の1月にAI駆動開発を推進するサブチームをバーチャルで立ち上げ、徐々に他部署へも活動の輪を広げています。その輪に、別の拠点(長崎)でDevin活用をリードしているメンバーが加わりました。この連携により、ツールを一つに絞るのではなく、それぞれの活用ノウハウや教育方法について知見を共有しながら、組織全体のAI駆動開発を協働して推進することができるようになりました。

マネージャーと現場の「共通言語」としてのデータ

── 実際のデータを可視化してみて、どのような変化がありましたか? 

杉原: Claude Code導入前後の3ヶ月を比較すると、PR作成数が468件から712件へと約5割増加しました。週次のPR数も2026年1月以降はほぼ毎週、過去6ヶ月の平均を上回り続けています。「なんとなく速くなった気がする」という感覚が、データで裏付けられた瞬間でした。 

山田: 正直、想像以上でした。これだけ明確に数字に出てくると、チームメンバーの表情が変わるのが分かりました。「自分たちがやってきたことは正しかった」という自信につながったと思います。データで見えると議論の質も変わって、「PR数がこれだけ増えた、次はサイクルタイムをここまで縮めよう」という具体的な話ができるようになりました。 

── AI活用の状況を可視化してみて、他に気づいたことはありましたか? 

山田: 誰がAIをよく使っていて、誰があまり使っていないかが一目で分かるようになったのが、想定外の価値でした。あまり使っていない人にヒアリングして、使いこなすためのサポートをするというネクストアクションにつなげることができました。サポートで使い方を理解した人が今ではチームの中でもトップクラスの活用をしてくれています。可視化がなければそこまで辿り着けなかったと思います。 

── ベンチマーク機能で他社との比較をしてみて、どんな発見がありましたか? 

杉原: 一番の発見は、サイクルタイムが世の中の基準と比べても上位に位置していると分かったことです。製造業というと開発スピードが遅いイメージを持たれることもありますが、私たちのチームは客観的に見ても速い水準にあった。社内の感覚だけでは絶対に分からなかったことです。

山田: この結果は、部長層とのコミュニケーションでも非常に役立ちました。「PR数が5割増えた」という定量的な評価ができたことで、AIツールの投資対効果(ROI)を明確に説明でき、非常に良い評価を得ることができました。 

── 現場のエンジニアはFindy Team+の導入をどう受け止めましたか? 

山田: 特に抵抗感はなかったですね。マネージャーが使う管理ツールではなく、チームが自分たちの働き方を振り返るツールという位置づけで使ってもらっていたので、自然に受け入れてもらえました。 

杉原: 現場としては「振り返りに使える道具が一つ増えた」という自然な受け止めでした。

チームが自分たちで使い方を決めて、自分たちのために使っているという感覚があったから、抵抗なく定着していったのだと思います。 

顧客体験の進化と、全社への「振り返り文化」の伝播 

── 今後の展望を聞かせてください。 

山田: 大きく2つあります。一つは、私たちが担当している顧客向けカスタマーポータルと、従業員向けの社内生成AIチャットサービスをシームレスにつなぎ、顧客体験と従業員体験を共に向上させていくこと。 

もう一つは、私たちが「出島」から培ってきた内製開発やアジャイルの知見、そしてFindy Team+ を用いた「振り返りの文化」を、これから内製化を進める他のグループへも伝播させていくことです。AIの流れに乗り、三菱重工全体のソフトウェア開発を盛り上げていきたいと考えています。 

杉原: アフターサービスにおいてお客様がご自身で課題を解決できる状態をつくり、結果として従業員の負担も軽減されるサイクルを実現したいです。そのためにも、現在はコード修正部分のみの計測に留まっている可視化を、要件定義や設計などの上流工程にも広げ、開発全体の生産性を高め続けていきたいと考えています。 

── 最後に、どんな方と一緒に働きたいか採用メッセージをお願いします。 

山田: 私たちの組織には「Create visible impact on business(事業に意味のあるインパクトを)」

「Be professional(社外のプロからプロと評されるプロであれ)」、そして少し強い言葉ですが「Stay foolish(アホになってやりきれ!)」という組織文化があります。 

これらの文化に共感し、三菱重工を良くしたい、日本の製造業を盛り上げたいという方にぜひ来ていただきたいです。 

杉原: 今、すべてが完璧にできている必要はありません。 

最初からうまくいかなくても、チームで支え合い、工夫しながら顧客価値を生み出していける方と一緒に働きたいですね。私自身が周りに助けられてここまでやってこられたので、この文化の中で一緒に成長していける方をお待ちしています。 

※経営と開発現場をつなぐAI時代の開発資本プラットフォーム「Findy Team+」のサービス詳細は、以下よりご覧いただけます

https://jp.findy-team.io/

Findy Team+ サービス紹介資料

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