エンジニアが幸せなら、プロダクトはもっと強くなる。デジタルガレージがSPACEを用いて実現した、垣根のない組織の作り方。

デジタルガレージ社のアプリペイチームでは、業務委託(パートナー)の開発者も多い中、フラットな関係性を構築し、開発者体験に配慮したチーム運営を行っています。

今回は、プロジェクトマネージャーの杉本さん、テックリード兼スクラムマスターの古賀さんに、今の組織をどのように作ってきたのか、そして今後の展望をお伺いしました。

プロフィール

杉本めぐみさん
新卒でJavaエンジニアを経験し、基礎を固めた後にゲーム会社に転職。PMやマネジメント領域の経験を10年ほど積み、2024年の11月にデジタルガレージへ入社。
現在は「アプリペイ」のPMとして、ビジネスサイドと開発の間のハブのような役割で、全体の進行管理や、品質とスピードのバランスをどう取るかを調整する役割を担っている。

古賀みゆきさん
新卒よりWebアプリケーションの開発を行い、フルスタックエンジニアとして活動。2025年にフリーランスとしてデジタルガレージにジョインし、その後正社員に転籍して今に至る。
現在は同じく「アプリペイ」にて、開発チームの1チームのリーダーと、2チームのスクラムマスターを担っている。

事業成長をドライブするために。デジタルガレージが『開発生産性の可視化』に踏み切った理由

──本日はお時間をいただきありがとうございます。最初に、御社の事業と開発組織について教えてください。

杉本:当社は、決済システムを扱うフィンテック事業を中心に、マーケティング事業、スタートアップの投資・育成を行うインキュベーション事業という三本柱で展開している会社です。

私たちが所属しているのは「DG Technology本部」という開発組織で、「デジタルガレージグループ各社との連携を強化して、プロダクト開発の能力を徹底的に高め、事業成長をドライブする」というミッションを掲げています。
DG Technology本部は、現在社員数100名ほどですが、多くのパートナーさんに関わっていただいて一緒に進めています。

──みなさんが担当しているプロダクトについて教えてください。

杉本: 私たちが担当している「アプリペイ」は、アプリ外でのWeb課金を可能にする決済サービスです。現在はゲームアプリを中心に、多くの企業様にご利用いただいています。

──今回お話を伺う「アプリペイ」チームの体制はいかがでしょうか?

杉本:現在、開発チームは3つあり、そのうちの2つのチームを私と古賀さんが担当している形です。

エンジニアのうち、7割くらいがパートナーさんです。今は完全に一つのチームとして一緒に取り組んでいますが、1年前くらいまでは結構お任せしていました。開発プロセスが把握しきれないところもありましたね。

──開発生産性を計測し始めたきっかけは何だったのでしょうか?

杉本:いくつか背景はありますが、その中の一つは、ビジネスサイドから「開発のスピードを上げてほしい」という要望を強く受けていたことです。そのために何をすべきか、どこにボトルネックがあるのかを特定するために、Findy Team+を使ってプロセスの見える化をしようとなりました。

また、新卒エンジニアやパートナーとして参画しているグループ会社のジュニアエンジニアの成長も重要なテーマとして上がってきており、それもきっかけの一つですね。

開発のボトルネックの正体。可視化で見えたのは「品質への強いこだわり」だった

──Findy Team+の導入後、具体的にどのようなお取り組みをされましたか?

杉本:最初は何を見ていくべきか分からなかったのですが、可視化された数字を見ていくうちに「レビューにすごく時間がかかっている」ということに初めて気が付きました。最初は「レビューが遅いのかな」と思ったのですが、中身を深掘りすると、エンジニアの皆さんがレビュー段階でしっかりテストをしたり、細かくチェックしたりしていることが分かったんです。品質に対しての意識が非常に高いがゆえのリードタイムだったんですよね。

古賀:可視化したことで、こうしたチームの良い面も分かって良かったです。とはいえ、ボトルネックになっている事実はあったので、「プルリクエストのオープンからマージまでの時間」を短縮することを目標に掲げました。

取り組みとしては、まず「なぜレビューを優先すべきなのか」という共通認識を作るところから始めました。「レビューまでの時間が速くなると何が嬉しいのか」という基本的な概念を、何度も何度も伝えるようにしました。

──効果的だった施策はありますか?

古賀:レビューの優先度が分かるようにラベル(Must、Askなど)を付けてもらったり、レビュアーを特定の人に固定せず分散させたりしました。チーム全員がレビューを経験することで、自分がレビュイーになった時もレビュアーが読みやすいように配慮する、といった思いやりを持って動けるようになったと感じています。

杉本:また、こうした施策を打てるようになった前提として、やはり開発プロセスを見える化し、パートナーの方も巻き込んで一緒に確認できるようにしたこと自体が大きかったです。可視化して同じ目線でチームを見たことで、プロダクトを成長させるために開発チームとして何をすべきかがわかるようになり、チーム感も出てきたように感じます。

古賀:私は入社時からFindy Team+が導入されていましたが、上手く意識できるようになったのは上司のおかげです。数字だけで判断するのではなく、数字の意味を問うコミュニケーションをしていただいたからこそ、計測をゴールにすることなく、業務への落とし込み方を考えられるようになりました。

混合チームで挑んだ「スクラム導入」

──2025年の7月頃に体制を大きく変更されたとお聞きしました。

杉本:以前はパートナーさんの会社ごとにチームが分かれていて、完全に分業体制だったのですが、5月に大きめの案件が走り始め、7月に本格化するタイミングでメンバーを混ぜる形で再編しました。

古賀:それまでは会社間で必要な情報を引っ張ってくるだけでも大変だったんです。この再編により、情報の風通しが劇的に良くなりました。また、このタイミングでスクラムも導入しました。

──ウォーターフォール開発が中心だったところから、スクラムを導入された理由は?

古賀:私自身が以前からスクラムをやっていて、その良さを知っていたことが大きいです。当時は要件がまだ固まりきっていない案件だったので、アジャイルで小さく始めるのが合っていると提案しました。今では会社の垣根もなく、一つのチームとしてヘルプし合える関係性ができています。

──体制や開発手法を変えるにあたり、大切にしたことはありますか?

これまでは、パートナーの皆さんと一緒に開発を進めてきた領域も多かったので、これまでに築きあげてきたものや、その背景を尊重したいなと思っていました。なので画一的にアジャイル・スクラムに統一するのではなく、プロジェクトごとに何が良いのかを相談したり、今までの良いやり方は残したりするなど、柔軟に対応していましたね。

DORA指標の先にある「開発者体験」へ。SPACE導入で変わった現場の納得感

──2025年の7月頃からはSPACEフレームワークも活用されていますよね。

古賀:定量的な数字(DORA指標など)だけだと、どうしても「数字のマジック」になりかねないと感じたフェーズがありました。それよりもプロダクトの成長や、開発者が幸せに働けているかという”Developer Experience(開発者体験)”を重視したかったんです。特にパートナーさんが多いチームなので、ちゃんと声を聞ける体制を作りたいというのもありましたね。

実際やってみたところ、良い点も課題感も皆さん率直な意見をあげてくれました。それをみんなで振り返って目線を合わせることで、チームがより強くなれたなと思います。

チームサーベイの結果でも高いスコアが出ている様子

このように、サーベイを活用した振り返りを継続することで、開発者体験が高い状態が実現・維持できていると考えています。

──パートナーさんとは垣根のない関係性が築けている一方、ビジネスサイドとの関係性はどうでしたか?

杉本:今振り返ると、ビジネスサイドの要求にただ応える側面が大きくなってしまっていたと思います。

──その壁はどうやって乗り越えていったのでしょうか?

杉本:スプリントレビューにビジネスサイドの人を呼んで、成果物を必ず見せるようにしました。また、ビジネスサイドに対して「自分たちが頑張って作ったものが世間からどう思われているか、フィードバックが欲しい」と率直にお願いすることもありました。すると、ビジネスサイドの人たちからも「早くリリースしてくれたおかげで助かった」といった温かい言葉をかけてくれるようになり、コミュニケーションの心理的ハードルもぐっと下がりましたね。

古賀:ビジネスサイドも歩み寄りたいと思って行動してくれていたことも大きいのですが、こういう状況を作れた理由の一つとして、やはりSPACEの指標があったのは大きかったかなと思います。

Findy Team+のチームサーベイに加えて、「売上」や「問い合わせ数」もエンジニアチームの指標に入れていたんです。エンジニア側から「この問い合わせが多いから、ここを改善しませんか?」と提案し、実際に問い合わせ数を激減させることができました。

こういった積み重ねの中で、ビジネス側も開発側の視点をより信頼してくれるようになったのだと思います。

フラットな組織だからこそ、AI導入もスムーズに

──最近ではAIツールの活用も進んでいるそうですね。

杉本:2024年の12月頃からCursorを全社導入しました。最初は個人で自由に使っていましたが、今はデイリースクラムの後に「こう使ったら便利だった」というシェア会をしたり、モブプロを行ったりして、チームとして活用法を模索しています。

古賀:CodeRabbitも導入し、AIレビューを行うことで、体感としてはレビューの負担が1/3くらいに減った感覚があります。これも今後、定量面からもどれだけ開発生産性の向上に寄与しているかFindy Team+で効果検証をしていく予定です。

今後の展望と読者へのメッセージ

──今後、目指したい方向性を教えてください。

杉本:開発スピードが上がったからこそ、今は「要件を固めるまでの工程」をよりスムーズにしていきたいです。また、プロダクトが成長しているからこそ、それをしっかり支えられる開発組織であり続けたいですね。

古賀:エンジニアが納得感を持って、幸せだと思えるチームでありたいです。辛い思いをして作ったものは、結局いいものにならないというのが私の持論なので。開発者体験が良い状態で、価値のあるプロダクトを楽しく作っていける状態を、他のチームにも広げていきたいですね。

──これから開発生産性の可視化に取り組もうとしている企業へのアドバイスはありますか?

杉本:「こうだろうな」という予測ではなく、事実を可視化することで組織が動き始めます。Findy Team+は、その気づきを与えてくれるツールとしておすすめです。

古賀:ツールそのものも素晴らしいですが、それをきっかけにエンジニア同士の会話が生まれたり、これまで話してこなかった課題に気づけたりすることが最大のメリットだと思います。Findy Team+のカスタマーサクセスの方のフォローも手厚いので、数値をどう捉えるべきか、一緒に考えてくれる点も心強いですよ。

──最後に、どのようなエンジニアと一緒に働きたいですか?

古賀:素直で、流行に敏感で、成長意欲が高い人ですね。環境は整っているので、主体的に動いて、一緒にプロダクトを引っ張っていってくれるリーダーシップのある方に来ていただきたいです。

素敵なお話をたくさんありがとうございました!


※AI戦略支援SaaS「Findy Team+」のサービス詳細は、以下よりご覧いただけます

https://jp.findy-team.io/

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