グループウェアの枠を超え、自律的な開発スタイルで変革を進めるサイボウズの「ダッシュボードチーム」。担当プロダクトの拡大に伴う「開発速度の維持・改善」を目指す中で、まずは現在地を知るべく、Findy Team+を導入しました。
チームが健康的で持続可能な状態を維持するために、なぜ「開発生産性の可視化」を取り入れたのか。開発生産性の指標を現場で上手く活用するポイントは何か。本記事では、その戦略的意図と、現場での具体的な活用実態に迫ります。
プロフィール
上岡 真也さん
サイボウズ株式会社 開発本部 kintoneプラットフォーム副本部 サブドメインクラス管理開発部 部長
2016年にサイボウズへ新卒入社。プラットフォームエンジニアとして社内製品が使うミドルウェアサービスの開発やインフラ管理、海外向けkintoneのインフラ移行プロジェクトなどに携わる。現在はマネージャーとして、kintone開発本部にてダッシュボード機能を担当する部門の部長を務める。
柿崎 美南乃さん
サイボウズ株式会社 同 ダッシュボードチーム プロダクトエンジニア
2023年にサイボウズに新卒入社。「チームワークを良くする」というkintoneのコンセプトに共感し、入社当初からkintoneの新機能開発に携わる。アプリ機能領域を担当するチームを経て、2024年9月よりダッシュボードチームに異動。現在は顧客向け・社内向けダッシュボード機能の開発を担当する。
自分たちの現状を知りたかった——ダッシュボードチームが Findy Team+ を使い始めた理由

—— 本日はよろしくお願いいたします。まず、ダッシュボードチームについて教えていただけますか。
上岡:はい。ダッシュボードチームはkintone開発本部 サブドメインクラス管理開発部に属しており、プロダクトエンジニア4名(うち1名はEMを兼ねる)、QA・デザイナー・スクラムマスター各1名の計7名が所属しています。
2024年に発足した比較的新しいチームで、プラットフォームエンジニアやフロントエンドエンジニア、そしてサイボウズ歴も1年未満から10年を超えるベテランまで、多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まっています。その強みを活かしながら、「作るものを開発チームで自ら決める」という自律的なスタイルで、どのようなことをどのような順番でやるのか、チームで考えて実行しています。
柿崎:開発内容としては、kintoneのダッシュボード機能全般を担当しています。
顧客向けには、性能問題をお客様ご自身で調査・改善できる「性能ダッシュボード」と、活用状況を把握して施策を打つことができる「利用状況ダッシュボード」を。また社内向けには、サポートや障害対応の調査に使うダッシュボードの提供をしています。
共通しているのは「見えないものを見えるようにして、アクションを起こしやすくする」という思想ですね。
—— Findy Team+を導入した背景を教えてください。
上岡:2025年上半期頃に開発生産性の可視化が社内でトレンドになり、内製でも計測基盤が作られたのですが、数値を目標にして運用する文化が未成熟で浸透に苦戦していました。生産性の低下など、具体的な課題感があったわけではないのですが、「自分たちの自己評価」を定量的に行いたいニーズがあり、Findy Team+の導入について検討していました。
柿崎:私もちょうどその時、上長との1on1で「今後プロダクトが大きくなる中で、チームの担当機能が増えても開発速度を維持・改善したい。そのために定量的にチームの状態を計測したい。」という相談をしていました。Findy主催のイベントで概要を聞いたこともあり、具体的にFindy Team+を使ってみたいというイメージも持っていたんですよね。
上岡:そうした経緯もあり、柿崎さんの上長のEMから話が上がってきたタイミングで、私の側でもちょうどFindy Team+のトライアルの話が動いていて、偶然のタイミングが重なり、導入を決めました。
数字を味方にするために——チーム全員で行った、使い方の認識合わせ

—— 導入を決めてから、チームへの展開はどのように進めましたか?
柿崎:まずスクラムマスターと私の2人で、Findy Team+のオンライン活用説明会に参加しました。そこで何を目的にFindy Team+を使っていくのか、チーム全体で目線合わせすることの重要性を感じ、終了後すぐにメンバー全員を集めて「認識合わせの会」を開きました。
—— 具体的にどのような話をしたんですか?
柿崎:Miroを使い、導入への「期待」と「不安」を全員に書き出してもらいました。期待には「ボトルネックの発見」、不安には「数値化できないタスクの評価への懸念」や「数値を追うプレッシャー」などが挙がりました。
不安を先に出し合えたことで、私自身も避けたかった「数字に縛られる使い方」にならないようにしようと改めて思えました。その上で、まずは開発の量や速度を把握し、よりアウトプットを増やしていきたいということで、目的を「健康的で持続可能なチームで高速な開発をする」ために使っていこうとチームで認識を揃えられました。
上岡:トップダウンで導入を押し付けても共感は得られなかったはずです。柿崎さんが先頭に立ってチームに展開してくれたからこそ、文化として馴染んだのだと思います。

Miroを活用し、導入への期待と不安を洗い出し

チームで活用目的として認識を合わせたこと
—— Findy Team+の活用を定着させる上で、意識したことはありますか?
柿崎:チームにとってあまり負担になりすぎないようにすることを意識しました。特にツール導入の初期は、ネガティブな印象を持ってしまうと今後の活用度合いに響きそうだと考えたため、ツールのためにチームのやり方を変えすぎないことや、全員でダッシュボードを見るのではなく、私が事前に要点を絞って共有するスタイルにすることなどを工夫しましたね。
逆に、最初にポジティブなイメージを持てれば、より活用してよりメリットを感じることができるという好循環が生まれると思っていました。その点で言うと、可視化したことでボトルネックが分かり、チームで改善した結果が数値に現れるなど、初期段階でFindy Team+を活用することによる”嬉しみ”を感じられていたことも良かった点だと思います。
上岡:カスタマーサクセス(CS)担当の方が、ミーティング前にデータを読み込んで「ボトルネック」と「良い状態」を両面から提示してくれたことも大きいです。ツールだけでは迷う「データの解釈」を一緒に伴走してくれたおかげで、運用が軌道に乗りました。
柿崎:CSの方は、課題だけでなく「チームとして良い状態になっていそう!」という良い変化もフラットに伝えてくれるため、前向きな情報をチームへ持ち帰れます。自分たちでは気づけない視点を毎回もらえることこそが、伴走の最大の価値だと感じています。
週次のレトロが変わった——Findy Team+を使いこなすまでの実践

—— Findy Team+を導入して、変わったことはありますか?
柿崎:数字が見えるだけで、自然とチームの意識や行動が変わるんだなと感じました。例えば、Findy Team+を導入して、数値が見えるようになっただけで、「レビュー依頼からレビューされるまでの時間」が顕著に短くなったんですよね。ダッシュボード上の数字だけでなく、メンバーとしても速くなった体感があり、良い変化を実感できました。

—— 実際、どのようにFindy Team+を活用していますか?
柿崎:上記の通り、「健康的で持続可能なチームとして、高速な開発をするために使う」ことを目標にして、週次のレトロスペクティブで以下の画面を活用しています。
・サイクルタイム分析:時間のかかっているPRを確認し、より早く開発できるための改善点を見つけるため
・チームサマリ:アクティビティの急増や急減の有無を確認し、大きな変化があった時に、健康的で持続可能だったかを確認するため
・メンバー比較:各個人のPR作成数やタスクの種類を確認し、スキルアップの機会的な偏りを見つけるため
これらの画面を見ながら、チームの目的に沿ってデータを確認し、改善点を洗い出してネクストアクションを決めています。
例えば、メンバーのアクティビティを比較した時に、EMの開発業務が多くなっていたスプリントがありました。その時は追い込みの時期になりがちなクオータの終盤だったのですが、レトロスペクティブでFindy Team+を見て、チーム全員で「これは持続可能な状態ではなかったね。もう少し開発業務を減らしEM業務に集中できるようにした方がいいかも。」という会話ができ、EMの業務配分についてチームで目線を合わせることができました。
Findy Team+で見られる定量的なデータと、チームの活用目的という共通言語との両方があったからこそ生まれた会話だと思っています。

—— 数値目標は設定されているのでしょうか?
柿崎:導入してしばらく経ってから、「一人1日1PR」を目標に置いたことがありました。
もちろん、数字に固執して辛くなるのは避けたいと感じたのですが、ただ、目標を置くことで、PRの粒度が小さくなってレビューを受ける頻度が増え、手戻りが減るなどのメリットもあるかもしれないので、チャレンジできると嬉しい旨をチームに伝え、やってみようとなりました。
このような、チームにとって馴染みがないことへの挑戦は抵抗感を感じることもあるかと思いますが、ダッシュボードチームが「やっていき」「乗っていき」なメンバーが多いこともあり、このような前向きなチャレンジもできたのだと思います。
結果的にチームからは「チーム目標を置いている期間はPRもレビューも増えた印象がある。」「チームや個人としてどれくらいのペースが適切そうなのかを知るきっかけになった。」というポジティブな感想が上がっていました。
現在は検討系タスクも多いため数値目標は外していますが、チームのフェーズに合わせて使い方を柔軟に変えていく重要性を学ぶことができました。
上岡:固定概念に捉われず、チームの状態に合わせてツールの運用をアップデートしていけるのが、このチームの良いところだと感じますね。
これからダッシュボードチームが目指すこと

—— Findy Team+を今後どう活用していきたいですか?
柿崎:チームの発足当初に比べ、現在は利用状況や社内向け機能の提供など担当範囲が広がっています。私たちのチームは状況に応じてゴールが変わる探索的な進め方をするため、従来の進捗管理では今の開発速度で十分かどうか分かりにくく、モチベーションを維持しにくい場面がありました。今後もチームの持ち物が増えていく中で開発速度を落とさず、魅力的な機能を追加し続けるためにツールを役立てたいです。
—— 同じ悩みを持つ開発リーダーに伝えたいことはありますか?
上岡:私たちは「生産性向上」ではなく「まず現状を知りたい」という動機で導入しました。伴走してもらう中で「実はここがボトルネックだった。改善すれば事業への貢献度を大きくできる」と発見できたことが最大の成果です。
漠然と生産性を上げたいと考えている方にとっても、現状を知る足がかりとして最適なツールです。一足飛びに改善を目指すのではなく、まずは自分たちの状態をフラットに見てみる。そこから自然と改善サイクルが回り始めるはずです。
ダッシュボードチームに興味を持ったエンジニアへ

柿崎:ダッシュボードチームはサイボウズの中でも、開発チーム自身で作るものや進む方向を決定できる裁量の大きいチームです。答えのない問いに対して、周囲とコミュニケーションを取りながら「技術でどう解決できるか」を一緒に考えられる方に来ていただけると嬉しいです。
上岡:「やっていき感(主体性)」が高いチームです。変化を楽しみ、新しいことに前向きに取り組める人はきっとマッチします。kintoneはまだまだ伸びしろがあり、エンジニアがプロダクトへ主体的に提案・コミットできる環境です。ビジョンに共感し、一緒にチャレンジしてくれる方をお待ちしています。
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https://cybozu.co.jp/recruit/entry/career/product-engineer-kintone.html
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