2025-03-03

デプロイ頻度とは?リリース頻度の測定と改善について解説

デプロイ頻度とは?リリース頻度の測定と改善について解説

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開発組織の規模が大きくなるにつれ、デリバリーのスピードと品質の両立は難しさを増していきます。

多くのエンジニアリングマネージャーが向き合うこの課題に対し、「デプロイ頻度」は組織の開発パフォーマンスを測る重要な指標の1つとなっています。

本記事では、デプロイ頻度の基本的な概念から、測定方法、具体的な改善アプローチまで、実践的に解説していきます。

デプロイ頻度が注目される背景

ソフトウェア開発において、新機能や改善をいかに素早くユーザーに届けられるかは、ビジネスの成否を分ける重要な要素です。デプロイ頻度は、この「素早さ」を測る重要な指標の1つです。

デプロイ頻度の高い組織では、機能改修やバグ修正を小規模な単位で迅速にリリースしています。

例えば、新規フィーチャーを「ログイン機能のUI実装」「バックエンド処理の追加」「データベース連携」といった段階に分けてリリースしたり、緊急度の高いバグ修正を即座に本番環境へ反映したりすることができます。

こうした柔軟な対応が可能なのは、開発からリリースまでの一連のプロセスが整備されたり、自動テストによる品質保証の仕組みが確立されているからです。

デプロイ頻度、具体的に何を見る指標なのか

このような組織のパフォーマンスを定量的に捉えるため、デプロイ頻度は「どのくらいの頻度で本番環境に変更をデプロイしているか」を測定します。
DORA(DevOps Research and Assessment)が3万以上のエンジニアを対象とした調査結果によると、高いパフォーマンスを発揮している組織では「1日に複数回のデプロイ」を実現しています。

ただし、実際には多くの組織が「1週間に1回以上〜1ヶ月に1回未満」の範囲で運用を行っているのが現状です。これらの数値はあくまでも調査結果であり、各組織の状況に応じて適切な目標を設定することが重要です。

パフォーマンスレベル変更リードタイムデプロイ頻度変更失敗率デプロイ失敗時の復旧までの時間
Elite1日未満必要に応じて
(1日に複数回のデプロイ)
5% 1時間未満
High1日以上1週間未満1日1回以上1週間1回未満20% 1日未満
Middle1週間以上1か月未満1週間に1回以上1か月に1回未満10% 1週間未満
Low1か月以上6か月未満1か月に1回以上6か月に1回未満40% 1週間以上

また、デプロイ頻度は変更リードタイムや失敗率、復旧時間といった他のFour Keys指標とも密接に関連しています。
これらの指標全体のバランスを見ながら、月1回のデプロイから始めて段階的に頻度を上げていくなど、組織の状況に合わせた改善計画を立てることで、持続的な向上が可能になります。

参考:Highlights from the 10th DORA report
参考:変更失敗率とは?本番環境の品質管理における重要指標について解説
参考:平均修復時間とは?インシデント対応力を数値で可視化

デプロイ頻度の改善がもたらすビジネス価値

デプロイ頻度を適切に向上させることで、組織には次のような効果が期待できます。

まず、小さな変更を頻繁にデプロイできるようになることで、各変更に伴うリスクが低減します。
例えば、1週間分の変更をまとめてリリースする代わりに、日々の小さな変更としてリリースすることで、問題が発生した際の原因特定や修正が容易になります。

また、変更から本番環境での結果確認までのフィードバックループが短くなることで、ユーザーの反応を素早く確認しながら改善・修正を行えるようになります。
新機能のA/Bテストや段階的なロールアウトも、高頻度のデプロイがあってこそ実現できる施策です。

「デプロイ頻度を上げる」だけでは不十分

デプロイ頻度は、単純に数値を上げることは比較的容易です。本質的な改善に繋げるには、前提となる土台作りが欠かせません。
具体的には、CI/CDパイプラインの整備とテスト自動化による品質確保が基本となります。さらに、コードレビューの効率化やモニタリングの強化など、変更管理の仕組み全体を見直していく必要があります。

デプロイ頻度を持続的に改善するポイント

デプロイ頻度を健全に・持続的に改善するには、技術、プロセス、組織文化の3つの側面からアプローチする必要があります。

技術面では、まずCI/CDパイプラインの整備が重要です。
ビルドプロセスの最適化、キャッシュの活用、デプロイプロセスの自動化などを段階的に進めていきます。これらの改善により、デプロイの実行速度を向上させ、より頻繁なデプロイを実現可能にします。 

プロセス面で効果的なのは、変更を適切なバッチサイズに分割して管理することです。
1回のデプロイで含める変更の範囲を限定することで、各変更のリスクを最小限に抑えながら、問題が発生した場合の影響範囲も局所化できます。

例えば、あるチームではプルリクエスト1件あたりの変更行数を300行以内に抑えるといったルールを設けています。
また、変更の種類に応じてレビュー方法を変える(新規機能は複数人でレビュー、軽微な修正は1名でレビューするなど)、デプロイ前のチェックリストを整備する、といった工夫も有効です。

組織文化の面では、チーム全体での改善意識の醸成がカギとなります。定期的な改善活動の振り返りや、チーム間でのベストプラクティス共有を通じて、メンバー一人ひとりが主体的に改善に取り組める環境づくりを進めましょう。

デプロイ頻度を計測する際の注意点

デプロイ頻度の計測・改善においては、いくつかの注意点があります。

まず、計測の目的を見失わないことが重要です。デプロイ頻度の数値改善自体が目的化してしまうと、本質的な改善から外れてしまう可能性があります。
定期的に「この改善は本当にプロダクトやチームにとって価値があるのか」を問い直すことが大切です。

適切な計測範囲の設定も重要です。組織によって「デプロイ」の定義は異なる場合があり、何をデプロイとしてカウントするのかを明確にする必要があります。
例えば、ホットフィックスやデータベースの変更をどう扱うかといった点です。

実践企業に学ぶ改善のヒント

在庫管理自動化SaaSを手掛ける株式会社エスマットでは、デプロイ頻度を約5倍に向上させることに成功しています。具体的にどんな取り組みを行ったのでしょうか。

同社では、レビューのしやすさを重視し、1プルリクエストあたりの変更を200行以内に抑える方針を定めました。さらに、メンバーが集まってレビューを行うモブレビューを導入。レビュー依頼が来たときに集まれるメンバーで声を掛け合いながらレビューを進めていきます。

またデプロイまでの手順の削減・自動化や、GitHub Actionsを活用したCI/CDパイプラインの整備などにより、開発プロセス全体の効率化を進めました。

これらの取り組みを通じて、デプロイ頻度は約5倍に向上。リードタイムも6分の1まで短縮されました。

注目したいのは、これらの改善が正社員2名と業務委託メンバーという比較的小規模な組織で達成されたということです。適切なアプローチと仕組みづくりがあれば、組織の規模に関わらずデプロイ頻度の改善は可能だということを示す好例といえるでしょう。

参考:デプロイ頻度は5倍、リードタイムは6分の1に。在庫管理自動化SaaSを手掛けるエスマットの開発生産性向上に向けた取り組みとは?

まとめ:デプロイ頻度改善の進め方

デプロイ頻度の向上は、開発生産性を高める重要な要素です。しかし、ただデプロイの回数を増やすだけでは、本質的な改善は望めません。

まずは現状の開発プロセスとデプロイの実態を把握することから始めましょう。
その際、デプロイ頻度だけでなく、変更リードタイムや障害発生率なども合わせて確認し、組織の現状を正確に理解することが大切です。

次に、改善に向けた基盤作りを進めます。
CI/CDパイプラインの整備や自動テストの充実など、技術的な基盤の整備は避けて通れません。小さな単位での開発や効率的なレビュープロセスの確立も必要です。

最も重要なのは、チーム全体での改善意識の醸成です。デプロイ頻度の改善は、技術的な取り組みであると同時に、組織文化の変革でもあります。
メンバー全員が改善の意義を理解し、主体的に取り組める環境を整えることが、持続的な改善に繋がるのです。

開発組織の規模が大きくなるにつれ、デリバリーのスピードと品質の両立は難しさを増していきます。

多くのエンジニアリングマネージャーが向き合うこの課題に対し、「デプロイ頻度」は組織の開発パフォーマンスを測る重要な指標の1つとなっています。

本記事では、デプロイ頻度の基本的な概念から、測定方法、具体的な改善アプローチまで、実践的に解説していきます。

デプロイ頻度が注目される背景

ソフトウェア開発において、新機能や改善をいかに素早くユーザーに届けられるかは、ビジネスの成否を分ける重要な要素です。デプロイ頻度は、この「素早さ」を測る重要な指標の1つです。

デプロイ頻度の高い組織では、機能改修やバグ修正を小規模な単位で迅速にリリースしています。

例えば、新規フィーチャーを「ログイン機能のUI実装」「バックエンド処理の追加」「データベース連携」といった段階に分けてリリースしたり、緊急度の高いバグ修正を即座に本番環境へ反映したりすることができます。

こうした柔軟な対応が可能なのは、開発からリリースまでの一連のプロセスが整備されたり、自動テストによる品質保証の仕組みが確立されているからです。

デプロイ頻度、具体的に何を見る指標なのか

このような組織のパフォーマンスを定量的に捉えるため、デプロイ頻度は「どのくらいの頻度で本番環境に変更をデプロイしているか」を測定します。
DORA(DevOps Research and Assessment)が3万以上のエンジニアを対象とした調査結果によると、高いパフォーマンスを発揮している組織では「1日に複数回のデプロイ」を実現しています。

ただし、実際には多くの組織が「1週間に1回以上〜1ヶ月に1回未満」の範囲で運用を行っているのが現状です。これらの数値はあくまでも調査結果であり、各組織の状況に応じて適切な目標を設定することが重要です。

パフォーマンスレベル変更リードタイムデプロイ頻度変更失敗率デプロイ失敗時の復旧までの時間
Elite1日未満必要に応じて
(1日に複数回のデプロイ)
5% 1時間未満
High1日以上1週間未満1日1回以上1週間1回未満20% 1日未満
Middle1週間以上1か月未満1週間に1回以上1か月に1回未満10% 1週間未満
Low1か月以上6か月未満1か月に1回以上6か月に1回未満40% 1週間以上

また、デプロイ頻度は変更リードタイムや失敗率、復旧時間といった他のFour Keys指標とも密接に関連しています。
これらの指標全体のバランスを見ながら、月1回のデプロイから始めて段階的に頻度を上げていくなど、組織の状況に合わせた改善計画を立てることで、持続的な向上が可能になります。

参考:Highlights from the 10th DORA report
参考:変更失敗率とは?本番環境の品質管理における重要指標について解説
参考:平均修復時間とは?インシデント対応力を数値で可視化

デプロイ頻度の改善がもたらすビジネス価値

デプロイ頻度を適切に向上させることで、組織には次のような効果が期待できます。

まず、小さな変更を頻繁にデプロイできるようになることで、各変更に伴うリスクが低減します。
例えば、1週間分の変更をまとめてリリースする代わりに、日々の小さな変更としてリリースすることで、問題が発生した際の原因特定や修正が容易になります。

また、変更から本番環境での結果確認までのフィードバックループが短くなることで、ユーザーの反応を素早く確認しながら改善・修正を行えるようになります。
新機能のA/Bテストや段階的なロールアウトも、高頻度のデプロイがあってこそ実現できる施策です。

「デプロイ頻度を上げる」だけでは不十分

デプロイ頻度は、単純に数値を上げることは比較的容易です。本質的な改善に繋げるには、前提となる土台作りが欠かせません。
具体的には、CI/CDパイプラインの整備とテスト自動化による品質確保が基本となります。さらに、コードレビューの効率化やモニタリングの強化など、変更管理の仕組み全体を見直していく必要があります。

デプロイ頻度を持続的に改善するポイント

デプロイ頻度を健全に・持続的に改善するには、技術、プロセス、組織文化の3つの側面からアプローチする必要があります。

技術面では、まずCI/CDパイプラインの整備が重要です。
ビルドプロセスの最適化、キャッシュの活用、デプロイプロセスの自動化などを段階的に進めていきます。これらの改善により、デプロイの実行速度を向上させ、より頻繁なデプロイを実現可能にします。 

プロセス面で効果的なのは、変更を適切なバッチサイズに分割して管理することです。
1回のデプロイで含める変更の範囲を限定することで、各変更のリスクを最小限に抑えながら、問題が発生した場合の影響範囲も局所化できます。

例えば、あるチームではプルリクエスト1件あたりの変更行数を300行以内に抑えるといったルールを設けています。
また、変更の種類に応じてレビュー方法を変える(新規機能は複数人でレビュー、軽微な修正は1名でレビューするなど)、デプロイ前のチェックリストを整備する、といった工夫も有効です。

組織文化の面では、チーム全体での改善意識の醸成がカギとなります。定期的な改善活動の振り返りや、チーム間でのベストプラクティス共有を通じて、メンバー一人ひとりが主体的に改善に取り組める環境づくりを進めましょう。

デプロイ頻度を計測する際の注意点

デプロイ頻度の計測・改善においては、いくつかの注意点があります。

まず、計測の目的を見失わないことが重要です。デプロイ頻度の数値改善自体が目的化してしまうと、本質的な改善から外れてしまう可能性があります。
定期的に「この改善は本当にプロダクトやチームにとって価値があるのか」を問い直すことが大切です。

適切な計測範囲の設定も重要です。組織によって「デプロイ」の定義は異なる場合があり、何をデプロイとしてカウントするのかを明確にする必要があります。
例えば、ホットフィックスやデータベースの変更をどう扱うかといった点です。

実践企業に学ぶ改善のヒント

在庫管理自動化SaaSを手掛ける株式会社エスマットでは、デプロイ頻度を約5倍に向上させることに成功しています。具体的にどんな取り組みを行ったのでしょうか。

同社では、レビューのしやすさを重視し、1プルリクエストあたりの変更を200行以内に抑える方針を定めました。さらに、メンバーが集まってレビューを行うモブレビューを導入。レビュー依頼が来たときに集まれるメンバーで声を掛け合いながらレビューを進めていきます。

またデプロイまでの手順の削減・自動化や、GitHub Actionsを活用したCI/CDパイプラインの整備などにより、開発プロセス全体の効率化を進めました。

これらの取り組みを通じて、デプロイ頻度は約5倍に向上。リードタイムも6分の1まで短縮されました。

注目したいのは、これらの改善が正社員2名と業務委託メンバーという比較的小規模な組織で達成されたということです。適切なアプローチと仕組みづくりがあれば、組織の規模に関わらずデプロイ頻度の改善は可能だということを示す好例といえるでしょう。

参考:デプロイ頻度は5倍、リードタイムは6分の1に。在庫管理自動化SaaSを手掛けるエスマットの開発生産性向上に向けた取り組みとは?

まとめ:デプロイ頻度改善の進め方

デプロイ頻度の向上は、開発生産性を高める重要な要素です。しかし、ただデプロイの回数を増やすだけでは、本質的な改善は望めません。

まずは現状の開発プロセスとデプロイの実態を把握することから始めましょう。
その際、デプロイ頻度だけでなく、変更リードタイムや障害発生率なども合わせて確認し、組織の現状を正確に理解することが大切です。

次に、改善に向けた基盤作りを進めます。
CI/CDパイプラインの整備や自動テストの充実など、技術的な基盤の整備は避けて通れません。小さな単位での開発や効率的なレビュープロセスの確立も必要です。

最も重要なのは、チーム全体での改善意識の醸成です。デプロイ頻度の改善は、技術的な取り組みであると同時に、組織文化の変革でもあります。
メンバー全員が改善の意義を理解し、主体的に取り組める環境を整えることが、持続的な改善に繋がるのです。

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2025-03-03開発生産性

デプロイ頻度とは?リリース頻度の測定と改善について解説

開発組織の規模が大きくなるにつれ、デリバリーのスピードと品質の両立は難しさを増していきます。

多くのエンジニアリングマネージャーが向き合うこの課題に対し、「デプロイ頻度」は組織の開発パフォーマンスを測る重要な指標の1つとなっています。

本記事では、デプロイ頻度の基本的な概念から、測定方法、具体的な改善アプローチまで、実践的に解説していきます。

デプロイ頻度が注目される背景

ソフトウェア開発において、新機能や改善をいかに素早くユーザーに届けられるかは、ビジネスの成否を分ける重要な要素です。デプロイ頻度は、この「素早さ」を測る重要な指標の1つです。

デプロイ頻度の高い組織では、機能改修やバグ修正を小規模な単位で迅速にリリースしています。

例えば、新規フィーチャーを「ログイン機能のUI実装」「バックエンド処理の追加」「データベース連携」といった段階に分けてリリースしたり、緊急度の高いバグ修正を即座に本番環境へ反映したりすることができます。

こうした柔軟な対応が可能なのは、開発からリリースまでの一連のプロセスが整備されたり、自動テストによる品質保証の仕組みが確立されているからです。

デプロイ頻度、具体的に何を見る指標なのか

このような組織のパフォーマンスを定量的に捉えるため、デプロイ頻度は「どのくらいの頻度で本番環境に変更をデプロイしているか」を測定します。
DORA(DevOps Research and Assessment)が3万以上のエンジニアを対象とした調査結果によると、高いパフォーマンスを発揮している組織では「1日に複数回のデプロイ」を実現しています。

ただし、実際には多くの組織が「1週間に1回以上〜1ヶ月に1回未満」の範囲で運用を行っているのが現状です。これらの数値はあくまでも調査結果であり、各組織の状況に応じて適切な目標を設定することが重要です。

パフォーマンスレベル変更リードタイムデプロイ頻度変更失敗率デプロイ失敗時の復旧までの時間
Elite1日未満必要に応じて
(1日に複数回のデプロイ)
5% 1時間未満
High1日以上1週間未満1日1回以上1週間1回未満20% 1日未満
Middle1週間以上1か月未満1週間に1回以上1か月に1回未満10% 1週間未満
Low1か月以上6か月未満1か月に1回以上6か月に1回未満40% 1週間以上

また、デプロイ頻度は変更リードタイムや失敗率、復旧時間といった他のFour Keys指標とも密接に関連しています。
これらの指標全体のバランスを見ながら、月1回のデプロイから始めて段階的に頻度を上げていくなど、組織の状況に合わせた改善計画を立てることで、持続的な向上が可能になります。

参考:Highlights from the 10th DORA report
参考:変更失敗率とは?本番環境の品質管理における重要指標について解説
参考:平均修復時間とは?インシデント対応力を数値で可視化

デプロイ頻度の改善がもたらすビジネス価値

デプロイ頻度を適切に向上させることで、組織には次のような効果が期待できます。

まず、小さな変更を頻繁にデプロイできるようになることで、各変更に伴うリスクが低減します。
例えば、1週間分の変更をまとめてリリースする代わりに、日々の小さな変更としてリリースすることで、問題が発生した際の原因特定や修正が容易になります。

また、変更から本番環境での結果確認までのフィードバックループが短くなることで、ユーザーの反応を素早く確認しながら改善・修正を行えるようになります。
新機能のA/Bテストや段階的なロールアウトも、高頻度のデプロイがあってこそ実現できる施策です。

「デプロイ頻度を上げる」だけでは不十分

デプロイ頻度は、単純に数値を上げることは比較的容易です。本質的な改善に繋げるには、前提となる土台作りが欠かせません。
具体的には、CI/CDパイプラインの整備とテスト自動化による品質確保が基本となります。さらに、コードレビューの効率化やモニタリングの強化など、変更管理の仕組み全体を見直していく必要があります。

デプロイ頻度を持続的に改善するポイント

デプロイ頻度を健全に・持続的に改善するには、技術、プロセス、組織文化の3つの側面からアプローチする必要があります。

技術面では、まずCI/CDパイプラインの整備が重要です。
ビルドプロセスの最適化、キャッシュの活用、デプロイプロセスの自動化などを段階的に進めていきます。これらの改善により、デプロイの実行速度を向上させ、より頻繁なデプロイを実現可能にします。 

プロセス面で効果的なのは、変更を適切なバッチサイズに分割して管理することです。
1回のデプロイで含める変更の範囲を限定することで、各変更のリスクを最小限に抑えながら、問題が発生した場合の影響範囲も局所化できます。

例えば、あるチームではプルリクエスト1件あたりの変更行数を300行以内に抑えるといったルールを設けています。
また、変更の種類に応じてレビュー方法を変える(新規機能は複数人でレビュー、軽微な修正は1名でレビューするなど)、デプロイ前のチェックリストを整備する、といった工夫も有効です。

組織文化の面では、チーム全体での改善意識の醸成がカギとなります。定期的な改善活動の振り返りや、チーム間でのベストプラクティス共有を通じて、メンバー一人ひとりが主体的に改善に取り組める環境づくりを進めましょう。

デプロイ頻度を計測する際の注意点

デプロイ頻度の計測・改善においては、いくつかの注意点があります。

まず、計測の目的を見失わないことが重要です。デプロイ頻度の数値改善自体が目的化してしまうと、本質的な改善から外れてしまう可能性があります。
定期的に「この改善は本当にプロダクトやチームにとって価値があるのか」を問い直すことが大切です。

適切な計測範囲の設定も重要です。組織によって「デプロイ」の定義は異なる場合があり、何をデプロイとしてカウントするのかを明確にする必要があります。
例えば、ホットフィックスやデータベースの変更をどう扱うかといった点です。

実践企業に学ぶ改善のヒント

在庫管理自動化SaaSを手掛ける株式会社エスマットでは、デプロイ頻度を約5倍に向上させることに成功しています。具体的にどんな取り組みを行ったのでしょうか。

同社では、レビューのしやすさを重視し、1プルリクエストあたりの変更を200行以内に抑える方針を定めました。さらに、メンバーが集まってレビューを行うモブレビューを導入。レビュー依頼が来たときに集まれるメンバーで声を掛け合いながらレビューを進めていきます。

またデプロイまでの手順の削減・自動化や、GitHub Actionsを活用したCI/CDパイプラインの整備などにより、開発プロセス全体の効率化を進めました。

これらの取り組みを通じて、デプロイ頻度は約5倍に向上。リードタイムも6分の1まで短縮されました。

注目したいのは、これらの改善が正社員2名と業務委託メンバーという比較的小規模な組織で達成されたということです。適切なアプローチと仕組みづくりがあれば、組織の規模に関わらずデプロイ頻度の改善は可能だということを示す好例といえるでしょう。

参考:デプロイ頻度は5倍、リードタイムは6分の1に。在庫管理自動化SaaSを手掛けるエスマットの開発生産性向上に向けた取り組みとは?

まとめ:デプロイ頻度改善の進め方

デプロイ頻度の向上は、開発生産性を高める重要な要素です。しかし、ただデプロイの回数を増やすだけでは、本質的な改善は望めません。

まずは現状の開発プロセスとデプロイの実態を把握することから始めましょう。
その際、デプロイ頻度だけでなく、変更リードタイムや障害発生率なども合わせて確認し、組織の現状を正確に理解することが大切です。

次に、改善に向けた基盤作りを進めます。
CI/CDパイプラインの整備や自動テストの充実など、技術的な基盤の整備は避けて通れません。小さな単位での開発や効率的なレビュープロセスの確立も必要です。

最も重要なのは、チーム全体での改善意識の醸成です。デプロイ頻度の改善は、技術的な取り組みであると同時に、組織文化の変革でもあります。
メンバー全員が改善の意義を理解し、主体的に取り組める環境を整えることが、持続的な改善に繋がるのです。

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